言の葉の宇宙 第Ⅱ章

過去からのいざない、未来への贈り物

2017年01月

「伝言」

彩りの季節の中
君がみつけた名もなき想い
言葉には表せない心の機微を
落葉前の葉が写し撮る

儚くも一瞬の煌めきは
君がみつけた一葉の紅
それは侘びしい季節への懸け橋となり
心の温もりとなるだろう

はらりと散っていく一片の葉は
それぞれが授けられた想いを抱え
降りしきる雪を背に受け
静かなる時をただひたすら待ちわびる



伝言


春の訪れを待つ
君の想いは
小さなもみじが
小雪に伝えたよ

まだ先の春への伝言




「閃き」

心の中に芽生えた
小さな閃き
その閃きが閃光となり
心と希望の楔へ

楔を打たれた心と
希望の隙間に
想い出という名の
言葉が堕ちていく

忘却の彼方の
静かなる言葉は
心の隙間で
言葉の海となり

その海の中で
泳ぎ続ける私の想い
寄せては返す波のように
想いは繰り返され


閃き


海の中で濃縮された
想いの束が重石となり
閃きは意志へと変わる
そうして希望は確信となった




「忘れない」

この悲しみを
どうすればいいのか

この悔しさを
どうすればいいのか

この怒りを
どうすればいいのか


ひとりの力ではどうすることもできない
それは充分に分かっている
でもこの気持ちをどうすることもできない

同じ思いを繰り返さない為に
私にできることが何かあるのか


それは忘れないこと

この悲しみを
この悔しさを
この怒りを

決して忘れないこと



忘れない





「夏の名残」

あの灼熱の太陽はどこへいった

砂浜に残された足跡を
打ち寄せる波が消し去るように
眩しく煌めいていた時の流れが
少年の日々を呑みこんでいく

夏の残像は静かに時を刻み
偏光プリズムのように分散され
秋の気配漂う記憶の海の中
君を暫しの眠りへと誘う


夏の名残り


一瞬の煌めきは幻
ひと夏の想いは夢の中
次なる目醒めの日まで
静謐なときを君へ贈ろう



「祈り」

昨日のことのように
おばあは語り始めました

当時7歳だったおばあの目の前で
母と兄、二人の妹は死んでいった

防衛隊となって戦場に駆り出された父も
戻っては来ませんでした

日本で唯一の地上戦が行われた地
今から70年前の沖縄での日常



1945年8月6日午前8時15分
広島は地獄と化した

1945年8月9日午前11時02分
長崎は地獄と化した

それまであった日常が
一発の原爆投下により一瞬にして破戒された



1945年3月10日、東京大空襲
たった一夜にして10万人の命が消えた

焼夷弾の雨が降り注ぐ前まで
家族で過ごしていた幸せの時、その全てが灰に



これが今から70年前の日常でした



2015年を生きる私たち
今ある日常を決して手放してはいけない

今日ある暮らしが明日へと繋がる
変わらぬ毎日が繰り返される尊さよ



戦後70年のこの日に祈りを込めて


武力ではなく対話を

暴言ではなく音楽を

地雷ではなく花束を



戦争ではなく平和を



祈り





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